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「石屋のコラム」について

石屋、灯篭に関する、豆知識や、歴史などをコラム形式で掲載しています。
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不定期更新です。

石工品で有名なところというと、茨木県の真壁、香川県の庵治、愛知県の岡崎が三大産地といわれています。そのなかでも灯籠、彫刻の生産では岡崎は全国一です。
ではなぜ岡崎には石屋さんが多いのでしょうか?岡崎石製品協同組合連合会の資料によると…
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豊臣秀吉によって徳川家康が関東に移封され、岡崎城主は田中吉政となった。
吉政は城下町精微に関わる掘や石垣の築造に必要な石工を河内や和泉より招き、随念寺は門前の土地を貸してこれを保護した。
これが石工業発展の起源であるが、領主と寺院の保護のもとに、東海道の北筋の裏町に江戸期を通じて30戸ほどの石屋町を形成した。
隣接地に良質の各種の花崗岩を産し、東海道の宿場町、城下町として旅人による特産品が宣伝され、矢作川の舟運と三河湾の海運によって、江戸その他の各地へ搬出されるなどのの諸条件がこの発展を支えたと思われる。
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また記録にあるものとして、明治17年に岡崎石匠組合が設立されています。
戦争による好景気時に、灯籠や仏像、神前彫刻物などの需要が高まり、業者数は100軒ちかくにのぼったそうです。
しかし第二次世界大戦による経済統制、徴兵などにより営業が困難になり、敗戦後も戦災で石屋街もほとんど壊滅状態。もちろん石製品の需要もなく、闇商売などで生計を立てていたのですが、自家食糧加工のための粉挽き用の臼や餅臼などの需要が現れ、ようやく復旧へと向かいます。
最近ではあまり見なくなりましたが、学校の校庭には二宮金次郎の像がありました。
多くの小学校に設置されていますが、それはなぜなんでしょうか。薪を背負いながらも勉強するその勤勉さ、でしょうか。
実はそれだけではないんです。昭和初期、第一次世界大戦後の好況時の反動で不況になり、石灯籠の生産、販売が大きく落ち込みました。
この状況を打開するため、教科書にもある勤勉と倹約のシンボルである二宮金次郎像を小学校に建立することで石製品の拡販を図ったのです。
県外の産業博覧会に出品し、全国小学校校長会に実物を持ち込み、文部大臣をも賛助会員とした「二宮尊徳先生少年時代之像普及会」を結成しました。
このおかげで西三河ではほとんどの小学校に像が建立され、日本全国のみならず、朝鮮や台湾からも発注があったそうです。
ここで取り上げる灯籠というのはもちろん石灯籠の事ですが、そもそも灯籠の定義とは何なのでしょうか。
もし、明かりを灯すための品でなおかつ石で作られていると単純に定義すれば、それこそ石器時代から存在するという事になってしまいます。
みなさんが思い浮かべるような灯籠、神社や寺社に献灯用に作られたものとしては、奈良県飛鳥寺から奈良時代前期に製作されたものと思われる灯籠の基礎部分が発掘されています。
全体が現存する最古の灯籠も同じく奈良の当麻寺にあり、その時代の作であるとされています。
その後の平安時代からは春日大社から柚ノ木型だけが見つかっています。

一気に発展したのが次の鎌倉時代で、いくつもの遺品が見つかっています。これはおそらく新興の宗教が生まれ(浄土宗や臨済宗など)信仰が進み、貴族や武士階級に浸透した結果、寄進のために建立されたとみていいでしょう。
道具の発達からこれまでより硬い石材を用いるようになった事も要因のひとつでしょう。さまざまなデザインの灯籠が数多く遺されています。
あいだを置いて桃山時代に入ると、茶室の庭、露地に灯籠を置くようになります。ここで初めて宗教的でない鑑賞のために作られた灯籠が生まれます。
江戸時代には商人達も寄進するようになり、お墓の建立も盛んになって石製品の需要が大きくなり、たくさんの石屋が生まれました。
江戸時代には商人達も寄進するようになり、お墓の建立も盛んになって石製品の需要が大きくなり、たくさんの石屋が生まれます。徒弟制度のもとで、既にある優れたデザインの灯籠を模作するようになります。
……宝珠(俗称 玉)
……笠
……火袋
……中台(受け)
……竿(柱)
……基礎、基壇(地輪)
……同上(泥台)
宝珠…灯籠の頂上を飾る玉葱のような形をした部分です。灯籠によって連弁(花びらのような模様)があるもの、無いものとがあります。笠の上に載っている、差し込んであるのが普通ですが、笠と一体になっているものもあります。
…灯籠にとって屋根にあたる部分です。写真のように反り返っているもの、まっすぐなもの、逆に山になって(むくって)いるものとがあります。端の部分にあるわらびのような部分は蕨手(わらびて)と呼びます。
火袋…灯明を灯す、明かりを置くための部品です。中を空洞にして、燈明皿(油と灯心を入れるお皿)を置くために底を平ら、もしくは皿が少し持ち上がるように加工してあります。通常、前と後ろに口があります。丸や三日月型の穴を他の面に開けたものも多くあります。また、飾りとして格子、蓮子模様や家紋や動物、茶道具などを浮き彫りにしたものがあります。
中台…火袋を載せるための部位ですが、基礎(地輪)と対称的な形をしているものが多く見受けられます。中台に限った事ではありませんが、笠、中台、基礎の大きさのバランスがとれていないと美しく見えません。
竿…基礎と中台をつなぐ柱です。竹のような節がつくものがほとんどです。太さも灯籠によってまちまちで、柚木型では笠や基礎が八角でも柱は円柱になっています。上下で同じ太さのもの、中央が太いもの、細いものと様々です。
基礎、基壇…灯籠の土台となる部分です。通常、連弁が彫ってあります。基壇が2枚に別れているもの、基壇が無いものもあります。灯籠を垂直に立てるためにはこの部分がちゃんと水平に据え付けてある事が前提になります。
2014年10月4日号のフライデーに「ボロ儲け、墓ビジネスの悪辣手口を業界から内部告発」という記事が掲載されました。
フライデーの記事はリンク先をご覧ください。(会員未登録では冒頭のみ)
墓石専門ではない私も読みましたが、矢田氏の言っている事が納得いかないので、ここで反論を述べておきたいと思います。

記事の冒頭にいきなり「私は修行中、『客の足下を見て値段をつり上げるのが墓石屋の醍醐味だ』と言われたことがあります」って、一体どんな石屋さんで修行したんでしょうか?
「競争原理が働かないこの業界には…(以下略)」と言っていますが、今の石屋さんは生き残り競争の真っ只中にあると思います。多くの石屋さんは従業員2、3人の零細企業がほとんどです。ところが今では葬儀屋や仏壇屋も墓石業界に参入しています。
営業のいる石屋さんなんてほとんど聞いたことがない業界です。無論CMなんて無縁です。折込チラシや新聞広告を出している店もありますが、ごく一部です。葬儀、仏壇、墓石とセットで扱われたら、我々石屋さんの出る幕なんてありません。
だから地元のお付き合いのあるお寺を大切にしてる石屋さんが多いんです。それを癒着と決めつけるのはどうかと思います。お客さんを紹介してもらったのなら、それなりのお礼をするのは当然だと思います。
新規のお客を開拓するのは簡単な事ではありません。営業広告にお金をかけられない零細企業ならなおさらです。
こんな状態で一体どこの石屋が欠陥墓石なんか建てる余裕(?)があるんでしょうか。どんな業界にも悪徳業者がいるとは思いますが、最近、私の周りでは聞きません。おそらく、そんな石屋さんはとっくに潰れています。

墓石の費用が100万円を下る都道府県はない。……フライデーの記者は石屋さん葬儀屋さんのチラシとか一度もご覧になったことがないんでしょうね。中国産でよれば、30万ほど出して頂ければ当社で建ててさしあげますが。基本工事一式込みで。
石屋さんも競争が激しくなり、墓石の値段もこなれてきました。ただ石屋の私でもこれだけ中国産のいろんな石材が入ってくると、どれがどれだか分からないのが正直な所で、一般の方が同じ形、大きさでなんでこんなに値段が違うのか分からないのは仕方のないことかもしれません。
国内は丁場(採石場)が次々と閉鎖されています。墓石用はキズや色ムラにとても厳しいので採れる場所は少なく、新な丁場が開拓される事はもうないでしょう。中国でも環境保護や枯渇で丁場が閉鎖されています。
競争が激しいのは中国の墓石製造業者も同じなようで、以前はツヤを増すために油を塗ってあったり、穴を埋めてあったりしましたが、ちょっとでも不具合が見つかれば即交換を要求され、しかも費用は向こう持ち。要求を断わろうものなら、別の業者に逃げられてしまいます。こんな具合ですから、欠陥品なんて出しようがありません。
中国産を擁護したくはないのですが、こんな磨きにくい所まで磨いてある…、と驚かされるのが中国産墓石です。日本で同じ加工をしたら工賃で値段が跳ね上るのは間違いありません。

「石材店は、一塊の日本産の大きな石を仕入れ、(中略)2個しか墓石作れなくても『3個墓石ができました』と言って産地証明を3通発行してもらい(以下略)」とか、「外国産を国産と偽って販売していた業者に…」と言っていますが、前述の通り、石屋さんは零細企業が多いので、墓石製造と販売(と据付工事)は別の会社である場合がほとんどです。(工事まで別会社にやらせている業者もありますが…。)
確かに中国産墓石が儲かるから、と輸入する商社がここ数年ですごく増えました。でも、そういう会社は一般客は相手にしていません。相手にしているのは街の石屋さんです。プロ相手にその手は使いにくいのではないでしょうか。もっとも石屋さんもグルになってやってれば話は別ですが。

私もこういった噂を耳にした事はあります。私はさほど墓石を扱ってきておりませんので、実際にこの類の悪徳業者に出会ったことはありません。年上の職人さんからは色々と豪快なお話を聞かせてもらってますが。
矢田氏は高校を卒業後、自衛隊の特殊部隊第一空挺団に入隊し、2年後に除隊して実家の石材店を継いだというすごい経歴の持ち主です。そんな御仁なら、このような、まるで全ての石屋さんが詐欺師であるかのような記事など載せず、自ら悪徳業者をとっちめてやればいいのに…。私には真面目にやってる石屋さんの顔にツバを捌きかけたようにしか感じられません。
株式会社マルタ山本石芸愛知県岡崎市稲熊町山道20
電話 0564-24-6607
メール info@sekigei.com